やっぱり物理が好き

素粒子物理や数学の勉強記録、海外滞在記、その他徒然日記
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Extra Dimension講義(1)

 いまやっている(やろうとしている)仕事(=研究)が、extra dimension の宇宙論のお話なので、extra dimension の復習を兼ねて、以前旦那にしてもらった講義のまとめを何日かにわたって書こうと思います。

 この講義は、アメリカ在住時(2001~2002年)に、週末に大学の研究室に行って講義してもらったものです。ちなみに、帰国後、某大学で extra dimension の集中講義を頼まれた際も、私にしてくれたこの講義をもとにしています。

 まずは、extra dimension の introduction を。

 なぜ、extra dimension を考えるのでしょう。

 素粒子理論の大問題のひとつとして、gauge hierarchy problem(ゲージ階層性問題)というものがあります。standard model(標準模型)における mass scale と、Plank mass scale(もしくは GUT scale)の間に大きな隔たりがあり、この大きな違いのあるスケールが混在するのが理論としては不自然であるという問題です。

 具体的には、

・standard model scale ~ 100 [GeV]
・Plank mass scale ~ 10^19 [Gev]

 文字通り”桁が違う”という感じですね。17桁くらい違います。

 この問題を解決しようとして、いくつかの理論が考えられました。

・テクニカラー(technicolor):Higgs粒子が複合粒子であるという理論
・超対称性(SUSY、supersymmetry):boson と fermion の間の対称性
・extra dimension

などです。
 extra dimension を取り入れた、Brane World Scenario は、こういった問題を解決するために導入されました。

 Brane World Scenario では、4 + n 次元時空を考えます。我々の4次元(空間3次元+時間1次元)は、4 + n 次元時空に超曲面として埋め込まれているとします。この我々のいる4次元を brane と呼びます。standard model にいる素粒子たちは、この brane にのみ生息することができます。
 ただし、graviton は時空がある限りどこにでも存在しうるので、extra dimension にも存在しえます。

 現在の精度では、実験で extra dimension の効果は観測されていません。つまり、実験で見えない程度に compact化されていると考えられます。どれくらい compact化されているかは、実験で確かめることになります。

 長くなりそうなので、今回はここまでにしておきます。次回も introduction的なものになります。
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extra dimension・・・とても面白そうです^^;そういえば,この前うちの大学でリニアコライダー計画の説明があってました。(どうやら,うちの大学の近くも候補地になってるらしくて)
これで,extra dimensionみつかるんかな~。
2006/05/24 23:58 URL by さっさ~ [ 編集] Pagetop△
なるほど、ゲージ階層性問題を解決しようとして素粒子論は発展してきたのですね。でも、なんで皆それを解決しようと躍起になってるのですか。そのままでは理論的に矛盾をきたしたりするんですか?

そういえばこの前のRandall さんの説明はブレーンワールドの視点ですね。

extra dimension のコンパクト化なんですが、余次元の構造って、やっぱり一般相対性理論から計量を計算して決めるんですか?その場合の質量エネルギーは超曲面のブレーン上にあるエネルギーということになるのですか?

質問ばかりですみません。。。
2006/05/25 01:05 URL by 義太郎 [ 編集] Pagetop△
■さっさ~さん
お近くがリニアコライダーの候補地?
そうなんですか!
とりあえずは、来年完成予定のLHCで見つかるかどうかですね。^^
(実際のデータ解析の結果等はさらに1、2年後かな)
楽しみですね!

■義太郎さん
> ゲージ階層性問題を解決しようとして素粒子論は発展
とは、限らないです。^^;
まだ究極理論がない以上、それを追い求めるのが素粒子論です♪
(究極理論=全ての相互作用(力)を統一的に考えられる理論)

階層性問題は、理論が矛盾とかってよりは、
記事中に書いたとおり「著しく不自然である」ということが問題です。
階層性問題とは関係ありませんが、
もし宇宙空間に特定な方向があったとしたら、
つまり、その方向を観測すると他方向と異なる現象が起きるとしたら、
不自然ですよね。「なぜだろう?」ってことになりません?
それと同じで、こんなにスケールが違うのは不自然だ、なぜだろう?
という感じだと思ってもらえればいいと思います。

> 余次元の構造
すでにわかっている物理(観測や実験や法則)からの制限の許容範囲内で、
手でモデルを作っているのが現状だと思います。

> 質量エネルギー
質量に関しては、次回お話しする予定です。^^

質問は大歓迎ですが、私もまだまだ勉強段階なので、
全てに答えられるとは限りません。^^;
(あっ、旦那に聞けばわかるかな?)
2006/05/25 12:16 URL by さとみ [ 編集] Pagetop△
Lisa Randall博士の情報を調べていてこのページを見ました。大変興味あります。これからも見ます。
出来れば、一つお聞きしたいのですが。
それは光の速度のことです。何度も聞いて、頭では理解しているつもりですが、動いている人が見る光の速度も静止している人が見る速度も同じというのが、どうも理解できません。光と余次元と何か関係ありそうな気がするのですが・・・。どう思われますか。
2006/06/01 12:50 URL by kamimura [ 編集] Pagetop△
 kamimuraさん、こんにちは。EROICAというペンネームの者です。EROICAとは、ベートーヴェンの交響曲第3番の題名です。

 さとみさん

 半日近くレスがないので、私が応えてしまってよろしいですか?

 kamimuraさん。今止まっている人から見て秒速30万Kmの光を秒速15万Kmで動いている人が見てもやっぱり30万Kmだったとします。このパラドックスを解くには、動いている人では、その違いの分だけ時間がゆっくり進んでいるのだ、ということを認めなければなりません。
 これこそ相対性理論の結論です。
 残念ながら余次元とは関係ありません。
 でも、そういう素朴な疑問を専門の人にぶつけてみるのは大切なことです。これからも、さとみさんのブログを見ていると、色々と面白いと思いますよ。

 さとみさん

 美味しいところだけもらっていってしまって、ごめんなさい。相対性理論というと書かずにいられないものですから。
 それでは。
2006/06/01 21:50 URL by EROICA [ 編集] Pagetop△
EROICAさん、ありがとう。
話としては、わかります。でも・・・。光の速度はそれほど速いわけでもないのに、それ以上の速さが存在しないというのも、どうも理解に苦しみます。それ以上の速さのものが存在できないという証明でもあるのでしょうか。

限界があるというのが不思議ですね。だから余次元が存在するのだと思うのです。
2006/06/02 15:22 URL by kamimura [ 編集] Pagetop△
■kamimuraさん
はじめまして。^^
光速不変に関しては、発想の転換というか
頭の中の常識をいったんニュートラルにする必要があります。
『光速不変の原理』は、とりあえず「なぜそうなるの?」と
問わないことが前提です。
それが”原理”の意味。
数学で言う”公理”と同じです。
まずは、原理ありき。
そこから相対論のいろんな法則が導かれます。
なぜだかわからないが、そう考えると全てうまくいく、という感じでしょうか。
他の原理に関しても同じことが言えます(不確定性原理とか)。

理論を考えるには、どこかとっかかりというかスタート地点が必要で、
それが”原理”だと思ってもらえばいいです。
なので、日常生活では理解できないかもしれませんが、
想像できなくとも、とにかく「光速は不変なのだ」と思うしかないですね……
それと、いまのところ、光速不変と反する実験事実が
確認されてないというのも大きいでしょう。
(だからこそ原理たりうるわけですが)

extra dimentsion と光速は無関係と思われますが、
関連があるという論文を、残念ながら知りません。
(ひょっとしたらあるのかもしれませんが……)

■EROICAさん
レスのタイミングには諸事情がからんできますので、ご了承ください。
2006/06/02 16:04 URL by さとみ [ 編集] Pagetop△
皆様、こうして意見を交換できて感謝します。
言われることは理解できます。しかし、私の頭の中で「なぜそうなるの?」と言う声がするのを否定できないのです。私はコンピュータのハードに関する仕事をしていますが、1nsecと言えば、ある程度感覚的に理解できる時間です。その時間に光が進む距離が30㎝だということは、あまりにも光の速度は遅いと感じます。ですから、星までの距離が何万光年、何十万光年ということになるのだと思います。昔、NHKでアインシュタインロマンという特集をやり、ミハエル・エンデが話していました。「なぜそうなるの?」と聞くべきだと・・・。くどくどとこだわって、申し訳ありません。決して、皆さんに文句言うつもりではないのです。ただ、誰かに、この質問をして見たかったのです。コペルニクス生誕500周年記念で湯川秀樹博士が講演した時に、彼は「・・・ニュートンもエーテルなどをいろいろ考えていたわけでありまして・・・しかし、彼の力学の信奉者達はもっと極端になって、エーテルなんて考える必要はない・・・となってしまった。こういうところに、ニュートンのようなああいう体系を自分自身でつくりあげた人と、それを信奉する人との、きわめて重要な違いが見られるわけです。何かを自分でつくった人は、自分で疑っているんです。出来たものを信奉する人は、作った人と同じような疑いを持っていない。これはきわめて重要な違いだと思います。」と言っています。
あまり、しつこく書くと、誰からも返事を頂けないのではないかと少し心配になりますが、
話変わりますが、Lisa Randall博士が消えていく素粒子を発見しても、それは「消えた」のではなく、何か不明なものに変化しただけであって、余次元へ行ったのではないと言い張る人が出る可能性はないでしょうか。
2006/06/03 08:47 URL by kamimura [ 編集] Pagetop△
■kamimuraさん
了解です。
もちろん、「なぜ?」と問うのは学問の基本です。
では、言い換えましょう。
光速不変は、現時点での私たちが持っている知識では
理由を考えることさえできないくらいの難問と思ってください。
いつか、「光速不変の原理」が
なぜ成り立つのかが解明されるかもしれません。
しかし、いまの時点では、その理由を考えるとっかかりすらありません。
(実験では確かめられますが)
なので、「なぜ光速は不変なの?」の質問への答えは、
現時点では「わからない」としか、答えようがありません。
わからない問題にも、レベルがあると思いません?
なんらかの適切と思われるアイディアを出せそうなものか、
全く何も手がかりがないか。
光速不変は、後者の問題です。いまのところは、わかりません。
(ちなみに、光速が不変じゃなかったら、どうなると思います?)

そして、extra dimension などに関しては、
手が届く範囲内の問題なわけですね。
まだ実証されたわけではないので、あくまで仮説です。
仮説なので、ほかにもいろいろな意見があるのは当然です。なので、

> 余次元へ行ったのではないと言い張る人が出る可能性

いまでも実際いると思いますよ。
2006/06/03 10:01 URL by さとみ [ 編集] Pagetop△
■ありがとう
光速のことは十分になっとく出来ました。
不思議なことだとして、暖めておきます。

「なぜ」と言う疑問と同時に、「何のために」という疑問もあると思います。extra dimention なども、「何のために」あるのかと・・・。
extra dimention が存在するおかげで我々のこの次元の存在が維持されているとか・・・Lisa Randall博士の本は読んでないのですが、読んだ方しらっしゃいますか。博士は何か、このようなことに関して何か書かれていないでしょうか。
2006/06/03 11:32 URL by kamimura [ 編集] Pagetop△
■kamimuraさん
extra dimention をなんのために考えるか、でしたら、
この記事にも書きましたが、基本的には
「ゲージ階層性問題を解決するため」ですね。
その論理の基本は記事にも書いてます。
ランドールの本は私もまだ未読なのですが、
もとの論文を読んでみようと思います。
2006/06/07 21:18 URL by さとみ [ 編集] Pagetop△
■なんのために・・・
ご意見ありがとうございます。
ただ、私は、ニュートンとゲーテが共に光に関して研究した時のように、extra dimention に関しても、二つの方向の研究があれば良いと思うのです。
(ゲーテは文学者だけでなく、立派な科学者だと思います。)
2006/06/16 18:05 URL by kamimura [ 編集] Pagetop△
■kamimuraさん
お返事遅くなりました。すみません。

私は string のほうはよくわからないのですが、
それでしたら、string の本でも読まれてみてはいかがでしょう?
というより、extra dimension 自体も勉強してみることをお勧めいたします。
やはり自分で勉強してみないとわからない感覚というのがあると思います。
2006/06/23 15:37 URL by さとみ [ 編集] Pagetop△
はじめまして

検索してたどり着きました。専門ではないですが、ファインマンは気に入ってます。リサ・ランドールさんの未来への提言、再放送を見ました。注目の「5次元」の論文が知りたいのですが、書誌・出典など教えていただけないでしょうか?
2006/07/11 21:18 URL by triton [ 編集] Pagetop△
■tritonさん
はじめまして。
ファインマン好きな方は、大歓迎です。^^
ランドール(とサンドラム)の extra dimension の最初の論文は、
http://arxiv.org/abs/hep-ph/9905221
です。
良かったらお読みになってみてください。^^
2006/07/12 22:29 URL by さとみ [ 編集] Pagetop△
「光速度不変」についてですが、僕の印象では、

1. 実験結果として光速度が不変だった。
2. 解明のため、「特殊相対論」が作られた。
3.「特殊相対論」が作られたことにより、「光速度不変」は「原理」に昇格した。
4.「一般相対論」では、「光速度不変」はやはり原理だが、局所的原理であり、大局的には成立しなくても良い。

といったところです。
2006/07/13 15:39 URL by hirota [ 編集] Pagetop△
さっそくのご返事ありがとうございます.欲しい論文がすぐに手に入るのはほんとに楽しいことですね.
ファインマンのどこが好きかって.言うまでもないのでしょうけど、光学の本が分かりやすかったことや「~~~ファインマンさん」シリーズが面白かったことやチャレンジャー事故での原因証明のエピソードなどなどです.(あれ、ファインマン違い?)
ファインマン、どこが好きですか?
2006/07/13 20:22 URL by triton [ 編集] Pagetop△
◆hirotaさん
大筋は、そんな感じでしょうね。
実験したら、エーテルの影響がなさそうだぞ?
光速は不変なのか? 不変なのだ!(このへんがアインシュタイン)
そうして理論を作ったら、いろいろうまくおさまったぞ。
新たにそれをもとに実験したら、うまくいったようだ。
ってな感じでしょうか。

一般相対論でも、光速は不変ではないですか?
重力があると、光が曲がる。
ただし、光速は不変なのだ。
とすると、光が曲がるのは時空が曲がっているからだ!
というのが、一般相対論の流れだと思います。

◆tritonさん
私も、tritonさんがおっしゃっているファインマン本は全部読みました。^^
あの好奇心旺盛でやんちゃな人柄、何に対しても独創性を発揮するところ、
そんなところが好きです。^^
チャレンジャー事故の原因追求も、このファインマンですよ♪^^
tritonさんも、本当にお好きなんですね、なんか嬉しいです。^^
2006/07/18 19:07 URL by さとみ [ 編集] Pagetop△
ありがとうございます。











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